自由のドア

島根、ローカルジャーナリズム、ときどき鉄道

ひたすら執筆…2019年1月の記録

皆さまご無沙汰しております…!1月は博士論文のゼミ構想発表と次作の『すごいぞ!関西のローカル鉄道』の執筆で、もう本当に毎日毎日、原稿を書いていました。

おかげで10万5千字を無事に月末の締め切り内に提出でき、まずはほっとしているところです。編集者さんの指摘をもらって、また修正作業するまで、しばしの休息、と言いたいところですが、そのほか貯めていた仕事やメール返信などに追われ、今日ようやく久しぶりにゆっくりできました。のでブログも書いてみるぞっということです。論文や本の執筆をしているときは、もういっぱいいっぱいというか絞り出す感じなので、それ以外のアウトプットはまったくしたくない、する余力がない…という感じなので、、ようやくちょっと回復したって感じかな。

1月10日には、はっぴーの家ろっけんで、関係人口をテーマにしたトークに登壇させていただき、とても勉強になったし、おもしろかったです!

同じくこの会に参加してくれた方が素敵な感想&記録を残してくれました。

1月10日、神戸市長田区のはっぴーの家ろっけんで開催されたトークイベント「『関係人口』という提案」はまるで好きな音楽のライブを堪能するように楽しめました。

『関係人口をつくる 定住でも交流でもないローカルイノベーション』の著者として知られる田中輝美さんと尼崎で様々なまちづくりに関わる実践をしかける藤本遼さん。案内ビラでは2人の対談ということになっていますが、実際は会場の「はっぴーの家ろっけん」を運営する首藤義敬さんも交えての鼎談に。

田中輝美さんについては著書を通じて関心をもっており、「関係人口」という概念を西成での実践に活かせないかとずっと思案しています。

関係人口の命題を敢えてざっくり言うと「必ずしも移住をゴールとするのではなく、地域に関わりをもつ人々を増やすことが、地域活性化において重要」となるでしょうか。

定住人口でも交流人口とも異なる関係人口という概念は近年、人口減少に悩む自治体の政策概念としても用いられています。

今や地域研究においても流行語になっている関係人口ですが、今日の鼎談では田中さんから関係人口という概念をめぐるアポリアが2つ語られました。

⑴ 関係人口に向けた取り組みの成果測定が困難であること
→ 定住人口や交流人口は数で把握しやすいが、関係人口は数で測りにくい。一方、質で図るにはどうすれば良いのか、というアポリア

⑵ 関係人口という概念はヨソ者を肯定的に捉えすぎているということ
→関係人口は「移住」をゴールにしない新しい地域との関わり方を提案する概念だが、実際にはヨソ者が地域を引っ掻き回すという疑念があり、関わりのあり方次第では「無責任」とみなされがち、というアポリア

田中さんが提示したこれらのアポリアに対する藤本さんや首藤さんの回答がなかなかに面白かった。

⑴について藤本さんは関わる人たちの意識がどのように変化したかに注目するとのこと。また、首藤さんは関わる人たちのライフスタイルの変化に注目するとのことでした。

⑵について藤本さんは関わりの「頻度」ではなく「深度」に目を向けるべきと説明。そのためには、初めて会った時にどれだけ濃い話ができるかが重要で、さらにそこで必要になるのは「弱さの開示」とのことでした。

「弱さの開示」という言葉は、田中さんも別の文脈で何度も使われていました。まちづくりに主体的に関わる人を集める時、地域の「強み」ではなく「弱み」を前に出す。弱み=隙間が関わり代になるとのこと。おそらく『関係人口をつくる』にも同様のことが書かれていたように思いますが、改めて著者の肉声で語られることで「なるほど」とガッテンした次第。

あとは、FMさんいんのラジオ番組「浜田真理子さんのご機嫌さんで。」に出演させてもらったのもよい思い出です。

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www.fm-sanin.co.jp

今後についてですが、3月17日(日)午後に関西でトークあります。よかったらぜひ!

real.tsite.jp

そのほかにもよくお問い合わせもいただくのですが、今年は公の登壇の場が少なくて、お仕事もお断りすることが多くて、本当に申し訳ないです…2020年は全開でしますのでーーー2020年こそよろしくお願いします!!!

とにかく執筆に集中する〜2019年の決意

皆さま、あけましておめでとうございます。遅…新年からの一週間はひたすら原稿を書いていました。久しぶりにこんなに集中して書いて、苦しいけどやっぱり楽しい。生きてるなという気がします(笑)

2019年は執筆に集中する年になりそうです。前半は次の著書『すごいぞ!関西のローカル鉄道』、春からは博士論文の執筆です。

もともと器用ではなく、さらに本や論文を書くのはなんというか、身を削るようで消耗してしまうこともあり。すでに、そしてこれからも、せっかくのお声掛けをお断りしないといけない場面が増えて心苦しいです。今年はとにかく踏ん張っていい作品をつくることに集中したいと思いますので、ご理解いただけると喜びます。

あらためてたくさんの人に支えてもらってるなと感謝の気持ちでいっぱいです。あまりこまめにブログ書けないかと思いますが、ブログ書いてないときは、あー原稿書いてるんだなと思っていただけると…!今年も引き続きご愛顧よろしくお願いします◎

写真は、いただいた2019年カレンダーたち。隠岐の素敵な風景を切り取っている森山さん、京急の関根くん、JR西日本和歌山支社の皆さま、ありがとうございました!大切に使います!

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2018年の振り返り、活動の環境や幅が広がったローカルジャーナリスト4年目

え、今日で2018年終わりなの?という感じで、全然年の瀬っぽくない今年なのですが、きちんと1年を振り返ってみたいと思います。

この年の初めに書いた今年の目指す漢字一字は「蓄」でした。どうだったかなーまあ確かにそんな一面もあるけど、どうだろう、力を蓄えるというより、、うーん、なんか「広」の方がよりイメージに近い気がする。関係人口という言葉も、私のローカルジャーナリストとしての活動も全国的に広がったし、新しく会社も設立しちゃってやることの幅も広がったし、そうだね、やっぱり「広」でした!笑 

それでは、今年もタナカテルミ的10大ニュース!

1、ローカルジャーナリストガイド発刊

一年に一冊は本を出したいという私の一番の願いは、今年はローカルジャーナリストガイドでかなえることができました。JCEJのメンバーや仲間に助けてもらったなあ。おかげでいいものができたと思います。来年はもっと届けていかねば。

 

2、株式会社「MYTURN」設立

なんと会社をつくってしまいました!同じ島根に暮らす同志・本宮理恵さんと共同代表です。社名は地方という課題と可能性にあふれた舞台で、若い世代が「私の出番だ!(It's my turn)」と思える社会をつくりたい、という思いから名付けました。

 

3、ローカルジャーナリスト商標登録

申請する前は「難しい」とか「とれない」とか言われていて、あまり期待せず申請したのですが、あっさりとれてしまって、びっくり。自分が考えた言葉というか生き方が商標登録されるって、よく考えたらすごいことのような気がする…! 感慨深い。

4、大阪大学人間科学研究科の博士後期課程に進んだ

なにを血迷ったか、修士論文であれほど苦しんだのに、博士後期課程に進んでしまったという…仕事しながらの博士論文は大変は大変ですが、でも、やっぱり学ぶのは楽しいし、いい博士論文が書けるように全力を注ぎたいと思います。

5、連載をたくさん持つことができた

連載5本(山陰中央新報中国新聞日本農業新聞、LRG、グリーンズ)と極食べる通信from島根でレギュラー6本。秋まではテレビもあったので7本。寄稿も月1、2本はありましたが、やっぱり連載はずっと書けるので本当にありがたいです。

 6、全国に呼んでもらって仲間が激増した

今年は「関係人口」という言葉の広がりとともに全国各地にお邪魔しました。その土地土地で素敵な人たちに出会って、この人といつか何か一緒にしたい!と突き動かされることが多く、この感情が私の人生のモチベーションの一つでもあります。

 

7、「ノーモア三江線」運動の広がり

JR三江線廃線がつらすぎて「もう二度とこんな思いはしたくない。ほかの地域にもしてほしくない!」とこちらも突き動かされて始めた一人キャンペーン。魂を込めた「木次線沿線の魅力大発表会」から宮崎、和歌山に広がり、仲間も増えて感無量です。

 8、『関係人口をつくる』重版出来

昨年10月に出版した『関係人口をつくる』が無事に重版されました。やっぱり重版は常に目指しているので本当にうれしかった。応援し、手に取ってくれた皆さまのおかげです。この次につなげていきたいですね。

 

9、インターンがやってきた

島根大学や休学して島根に来ている大学生が、ローカルジャーナリストのインターンをしたいと門をたたいてくれて、今年からインターン制度が始まりました。考えたこともなかった発想だったので、斬新でしたし、何より大学生と語り合うのは面白い。

 

10、「旅と移住の間を考える研究会」の会報ができた

大好きな仲間たちと楽しみながら細々と続けていた研究会、会報をつくりたいとずっと思ってきましたが、なんとかつくることができました!やっぱり紙が好きというか、残ること、記録することが好きなんだろうなあなんて思います。 

 

………………………

以上でした。こうやって独り言に近いながらもブログに書くことで、整理されるし、記録として残っていく部分もあるので、なるべく書いていきたいなあ。文字にするのはエネルギーがいるからしんどいけど、大事。そして余裕がなくなると途端に書けなくなるんだよね。書いていない間にも記録しておきたいことがたくさんあるのですが…残念。来年はもっとちゃんと記録したいな。と毎年書いていて、進歩していない。まあ来年のことはまた明日以降、新年の決意で書きたいと思います。今年も1年、ご愛顧ありがとうございましたー!読んでくださっている皆さまが心の支えです。多謝。

2018年巡り合えてよかった!5冊

いやーもう年末ですね!毎年恒例の巡り合えてよかった!5冊の2018年版をご紹介したいと思います。

今年はものすごい量読みました。100冊は超えてます。記録を取り始めた8月1日からでもすでに150冊。なので、1年間では200冊近いのではないかと思います。なぜかというと、繰り返しちょこちょこ書いていますが、博士論文を書くために、一日1論文(または本)を読むことを課しているからです!しんどいけどやればなんとかできるというか、むしろ読まないと落ち着かない活字中毒的な感じまではきました(笑)

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そうした中で、厳選の5冊、です。これまでと変わらず、2018年に出版されたわけではなく、たまたま2018年に私が出合った本たちの中からのセレクションです。出合った順。あらためていい本が多かったですね。やっぱり本って最高。

 1)中動態の世界(國分功一郎

昨年とても話題になった本。4月の1週間の充電時期に読みましたが、目からうろこで大興奮でした。能動態と受動態というパースペクティブで今の世界を私たちは理解しているのですが、それとは違う態=中動態があり、中動態という見方で見るとまたこれまでとは世界が違って見える、という感じでしょうか。個人的にも、現代という時代について意志=私という意識の肥大化という問題意識を持つようになりました。ちょっと難しいかもですが、頑張って読む価値があります。読んだ後には世界が違って見える。これこそが「学び」の神髄であり醍醐味なので、ぜひ読んでみてください!

2)うしろめたさの人類学(松村圭一郎)

よりよい社会をつくっていく上でのキーワードが「うしろめたさ」という感情にあると投げかけている本です。”人との格差に対してわきあがる「うしろめたさ」という自責の感情は、公平さを取り戻す動きを活発化させる。そこにある種の倫理観が宿る”というくだりは、なるほどなと思いましたし、今後の社会は「倫理感」というのが大切な概念になるのではないかとうすぼんやり感じていたこともあって、面白く読みました。キーワード一つで鮮やかに社会を切り取り、考えてもらえるような問いを投げかける、こんな仕事をしたいものですね。

3)小さな出版社のつくり方(永江朗

ひとり出版社に代表される小さな出版社を営む人たちがなぜ、 どうやって立ち上げて続けているのかを紹介しています。登場する11の出版社それぞれのストーリーを追っている中で、著者が抱えている出版業界への問題意識がところどころ表現されていて、それがきちんと通底していて、伝わってくるものがありました。私の目指すスタイルとしても、問題意識があるのは大事なんだけどそのまま批判として押し出すのではなく挑戦や提案の中に描きたいと思っているので、次はぜひこんな本を書いてみたいなあと、いいヒントをもらった、いいモデルが見つかった気分になりました。

4)観光客の哲学(東浩紀

私が取り組む「関係人口」につながるから読んだ方がいいよと信頼する知人に言われ、手に取りました。「村人」でも「旅人」でもない概念として「観光客」を提案していて、私の考えていることと近い部分があるなと、やっぱり「あいだ」なんだよね。もっとどこが違ってどこが同じなのか整理しないといけないですが。何より、他者への寛容を支えるために「家族」(現代の狭い概念ではない)を出し、最後の「子として死ぬだけではなく、親としても生きろ」というメッセージは強烈で涙がこぼれました。ちょうど盟友矢田明子ちゃんと話していたことと同じでびっくりしたり。実は以前に一度読んだのですが、そのときはほとんどわからなかったけど、今回は理解することができたので、自分の成長も感じることができてうれしかったのです。

5)日本の分断(吉川徹)

私が通っている大学院の指導教員である吉川先生。以前に書かれた『学歴社会のローカルトラック』も、質的調査と量的調査を両立させていて、こんな本を書きたいと激しく感動したものでした。今回は、粗いですがまとめると大卒者と高卒者の間の分断が激しくなっていて、これを放置することは日本社会に大きな問題になるというのが大きな趣旨で、定量的データを元に、現代を切り取っていて、しかも最後に熱いけど押しつけがましくないメッセージがある。エビデンスとメッセージを両立させている素晴らしい本でした。私もこんな博士論文を書きたい…!

ちなみに、お気づきになりました?写真には6冊が写されていることを…『ジンメル・つながりの哲学』もよかったのです。ジンメルという社会学者が言っている「秘密」という概念の大切さがとても腑に落ちて、少し人生が楽になりました。そうそう、今年、いろんな本をたくさん読んで、知識が増えて、繰り返しになりますが、人生が楽になりました。勉強すると、人生が楽になる。と実感した1年でもありました。というわけで皆さまにもおススメです。

過去のシリーズはこちら。2016年が修士論文が大変すぎて書き残せてないのが悔やまれる…悔やんでも悔やみきれない…

 

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JCEJの2018年総会を開催

運営委員を務めている一般社団法人・日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)の毎年恒例の年末合宿@箱根でした。

今年は念願だった地域発信の教科書『ローカルジャーナリストガイド』を発刊することができました。2019年はどう届けていくのか皆で議論し、一緒にこのガイドを使ってローカルジャーナリストを地域で育てていく、そういうパートナー団体を募集することにしました。すでに顔が浮かんでいる人もあり、お声掛けするかもしれませんので、何卒よろしくお願いします◎

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JCEJの活動を通して、全国各地の仲間とつながることができています。ともにチャレンジしてくれる全国の仲間、そしてJCEJメンバーに感謝です。そのほか他のメンバーがジャーナリズムデジタル化計画(仮)やフェイクニュース研究にも取り組んでいく予定です。2019年も引き続きよろしくお願いします!

進化した今年のクリスマス

皆さま、メリークリスマス!クリスマスと言えば、毎年、シェアオフィスでバリバリ仕事に追われながら、仲間のよーこさんが持ってきたケーキを食べるのが恒例でした。

今年も、よーこさんのケーキをよーこさんたち仲間と食べたのは一緒でしたが、何が進化したのかというと…!夜には仕事を終えて、自宅のはばたき荘で、美味しいちえちゃんの料理とともに食べることができたことです!働き方改革できてるー!

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すごい、美味しそうでしょう!すごく、美味しいんです!このブログでも、まあほかの公式にも、ちゃんと言ってなかった気がしますが、いまは、はばたき荘という古民家に、仲間の一人、ちえちゃんと一緒に暮らして「住み開き」をしています。楽しく快適な生活なのです。そういう意味で、今年は、目標にもした働き方改革できてる気がしますね。また年末に総括しなければ。

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島根県邑南町のスーパー公務員・寺本英仁さんとのトーク、爆笑の渦でした

「しまね協力隊FES!」@松江テルサでの、島根県邑南町のスーパー公務員・寺本英仁さんとのトーク、無事に終わりました。やっぱり寺本さんのお話は、本当にすごく面白くて、私も会場も笑いっぱなし。Twitterでも面白かった!という感想をいただき、感謝です。やっぱり面白い人はトークも面白い!(当たり前)

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続いて島根県内の地域おこし協力隊の皆さんとトーク。津和野の田口さん、奥出雲の 玉井さん、大田の西嶋さん、出雲の山田さんに登場してもらいましたが、こちらも皆さんのいい意味で「変態」ぶりが発揮されていて、面白かった!

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フェスの方も一応1000人ちょっとの方に来場いただきまして、感謝。天気悪かったので、少し残念でした。食べ物があるってわからなかったという声もいただいたりで、名前を島根いいものマルシェwith地域おこし協力隊、みたいなタイトルにしたらよかったかなあとか、反省もいろいろあったので、それを踏まえて来年はもっともっといいものにしたいな。協力隊の皆さま、お疲れさまでした、ありがとうございました!

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