自由のドア

島根、ローカルジャーナリズム、ときどき鉄道

渾身の御礼。木次線沿線の魅力大発表会、最高でした!

渾身のお願いとして投稿した「木次線沿線の魅力大発表会(2/11)」無事に終えることができました!会場ほぼいっぱいの400人の前で10団体が実践発表し、沿線にちなんだお弁当やお菓子も並んで(いずれも完売!)愛と情熱あふれるステキな場になりました。

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詳しくはコチラ:

木次線全線開通80周年木次線沿線の魅力大発表会開催(2/11) |

追記、来場者の声もアップ。泣ける…:

木次線全線開通80周年木次線・沿線活動団体への応援メッセージ |

来場者から感動した、励まされた、ローカル線活性化のモデルを見たといった感想をいただきましたが、すべて発表10団体を含めて沿線で活動する18団体や出店者、JR木次鉄道部、下支えする雲南市、奥出雲町、松江市庄原市島根県庁の方々あってこそです。ほかにもたくさんの方が応援してくれました。関わってくれたすべての方に感謝の気持ちでいっぱいです。本当に本当に本当に、ありがとうございました!!!!

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せっかくの機会なので、ここに至る経緯、なぜこの会を企画したのか、振り返って記録しておきたいと思います。

雲南市の西村課長さんから、木次線の活性化に向けて相談させてほしいと連絡があったのが、昨年1月24日。西村さんとは、その前年に、JR三江線でハタチ族が開催した観劇列車でご一緒し、名刺交換をしていました。

そのころの私は、すっかり打ちひしがれていて、というのも、地元のJR三江線廃線が決まり、受け止めきれなくて、悶々としていました。雲南市と奥出雲町のスタッフと実際に打ち合わせしたのが2月23日。どういう関わり方かは今後の相談としても、ちょうど全線開通80周年の節目で木次線の活性化に何らかのカタチで関わることにしました。 しかし、葛藤がありました。

ジャーナリストというのは書くのが仕事であり、実際に物事を動かすプレーヤーになることはどうなのか、正直迷いました。

それでも、三江線廃線決定で感じた、何かもっとできることがあったのではないか、という思い。大きな流れは変えられなかったかもしれないけど、それでも地域に暮らす当事者として、鉄道を愛している身として、もっと早く問題意識を持ち、動き出さなかったことへの後悔。もう二度とこんな思いはしたくない、やらない後悔よりやった後悔だと思い切って、アドバイザーをお引き受けすることにしました。

アドバイザーの初仕事として3月29日に雲南市で「ローカル鉄道による新しい地域再生」というタイトルで講演。もちろん木次線に乗って行ったのですが、そう報告したときに会場がどよめいて。そしてその会場で出雲大東駅の駅長、南波由美子さんに出会いました。ちょっと話しただけでしたが、前のめりでアツい感じ、すっかり意気投合し、一緒に面白いことができそうだとワクワクしました。 

これからどうしていこうか考えたときに、まずやるべきだと思ったのは、沿線でどんな人が活動しているのか共有する会でした。それは、これまでもいくつか別の地域でワークショップを担当してみた実感で、あまり複雑な設計をしなくても、一緒のテーブルで話す機会をつくるだけで、頑張っている人たちが「同じ思いを持っている人がいる。自分一人じゃない」と気付いて、励まされる、エンパワメントされる場面を見てきていたからでした。

そこで、6月21日、JR木次線の未来をみんなで考えよう!ワークショップを奥出雲町で開催。60人という予想以上の参加者と熱気。普通に活動を報告してもらっただけでしたが、いちいち面白くて、途中で話を制止しないと止まらないほど情熱があふれ出ている人が多くて。

現代において狼煙を上げたいという謎の情熱を燃やす金山要害山保存会の伊原さん、錦織さん。伊原さんスキンヘッドのトラック運転手なんですが、コワモテでカッコいい。あと、備後落合駅の永橋さんも72歳なのに、勝手に駅の管理をして毎日駅に立ち続けるという、こちらも情熱の人というかROCKな人で、すっかり惚れ込んでしまいました。ウオーキング協会の方もアツかった。

この会に参加しているこの人たちこそが木次線の力であり、魅力であると確信したのです。  

もう1つすごいと思ったのは、JR木次鉄道部さんの協力的な姿勢でした。ほかのエリアでは見かけられないくらい協力的で、鉄道事業者、行政、住民という、三位一体になるべきプレーヤーがきちんとそろっていることも、木次線の財産だなと感じました。

この共有会では、思った通り、参加者同士がすごく勇気付けられていたし、さらにこれはもっとたくさんの人に見てもらいたい。見ればきっと応援したくなる、木次線に興味がない人でも木次線を応援する、関わるきっかけになるはずだと考えました。

そこで、その場で雲南市の多根さんにお願いして、沿線で一番大きい&木次線で来場できる会場=チェリヴァホール大ホールに予約を入れて、2月11日しか空いていなかったので(3月が良かったけど)、2月11日に大ホールで大発表会をする考えを伝えました。その場ですぐ電話して予約した多根さんの行動力がすごいなと、今振り返っても思います(笑)

このときも会場に行くために木次線に乗って、南波ちゃん、ハタチ族の西藤さんと大きな声で木次線について話していました。そこで「あのー」と話しかけてきたのが、なんと今回の発表会でも発表してくれた横田高校生!「私たち課題研究で木次線をしているんです」。運命の出会い。まさに運命を感じ、こういうときはうまく物事が回っていくな、幸先いいなと思いました。

9月に再び、団体に参加してもらって活動の中間報告会を開催。80周年記念実行委員会の助成金があったこともあり、▽実施したこと▽今後やると決めていること▽やりたいと妄想していること…をそれぞれ報告してもらい、共有しました。

そうすることで、沿線がつながりあい、お互いに応援し合うことができるのではないかと考えたのでした。沿線の人たちが協力して狼煙上げイベントを11月23日に行うということがまとまりました。意外というか予想通りというか、これが、沿線がつながって協力して実行した初のイベントとなりました。また、加茂中駅のフォトコンテストにもつながっていきました。

この間にも加茂中駅下久野駅など各駅がどんどんイベントを仕掛け、それにもお互い応援しあって参加し合うという光景もみられるようになりました。南波ちゃんの出雲大東駅の頑張りを中心に、確実に大きく輪が広がっていっているな、木次線への関心は高まっているなと、そういう手応えを感じました。

しかし、大ホールいっぱいに来てもらうには、今関心を持ってくれている人たちだけでは足りないなという問題意識も持っていました。どうしたら木次線(鉄道)に関心を持っていない人に関心を持ってもらえるか…

ローカルヒーローがいるじゃないかと、三成由美ちゃんたちおくいずも女子旅つくる!委員会と一緒に木次線Tripをしたり、しているうちに…想像を超える勢いでお弁当プロジェクトが立ち上がり、もうどんどんさらに輪が広がっていきました。

当日発表する団体も、園児がトロッコ列車に手を振り交流している布勢幼児園や、大学生による木次線BOOKのプロジェクトなど10団体が決定。美味しく楽しくなきゃ!という声ももらって、つちのと舎の三瓶さんと、アシェットの陶山留美ちゃんに出店してもらうことになりました。

そうこう進めているうちに、いろんな人が心配して、当日の大ホールという会場を変更した方がいいのではないか、足元が悪い冬はどうしても人が集まらない、集まらないとちょっと惨めな雰囲気になるから…と助言をもらいました。

私だって絶対に集まる自信があったわけではないし、正直、心は揺れました。ここで小さい会場に変更できたらどれだけ楽だろうとも思いました。でも。なんのために、この発表会をするのか。

素晴らしい発表になる、つまり、質の面では自信があったし、それなら、これを一人でも多くの人に届けることがこの会の役割であり、使命ではないか。それを、できないかもしれないという理由で小さい会場に変更するのは、一生懸命活動している団体にも失礼になるし、裏切りになる。ここは踏ん張ろう、やるしかない、と心に決めました。

繰り返しますが、質には自信があったので、だから数にもこだわりたかった。伝わらなければ始まらない。全国のローカル鉄道の再生事例を取材する中で、えちぜん鉄道が復活したのは、1000人単位の人が集会やパレードをして声を上げたことが大きかったと聞いていました。数も力になる。全力で声掛けしようと。

でも私だけではこの決断はできなかったと思います。一緒に取り組んでくれている、これまで触れたような活動団体の人たちがいたから、やろうと思いました。本気で人に来てもらうなら、SNSの拡散より直接の声掛けでなくては伝わらないので、人を訪ねて歩き、メールやメッセージを送りました。

その過程でたくさんの人が応援、協力してくれ、人のやさしさが心にしみました。

当日。開場直後から人、人、人、たくさんの人が来てくれ、想像をはるかに超えた素晴らしい発表のオンパレードでした。 何回か感動して、司会しながら、涙が出ました。

「さん」さんの木次線ソングと四ツ葉学園保育所ポッポーズ」のダンスも超絶かわいくてほっこり! ローカル線活性化のヒントを探りたいと東京、名古屋、大阪、広島など各地から、鉄道を想う仲間たちが駆けつけてくれました。国土交通省JR東日本の関係者も来られました。うれしくて泣きました。(泣いてばっかり…)

私の司会とパネルディスカッションのコーディネーターは拙いところもあり、反省しきりですが、さすが名古屋大学の加藤先生をはじめ、素晴らしいパネリストの皆さんのおかげで、いい学びを提供してもらったと思います。全日程を無事に終えることができ、もう胸がいっぱいで、関わってくれた皆さまには感謝しかありません。

ここまでつらつらと書いてきて、最後になりますが、でも本当に、沿線で活動する方たちがいてこそ。これがすべての出発点です。私はその方々に心動かされ、もっと多くの人に伝えたいと思いました。行政やJRも一緒に協力してくれる珍しい環境も整っていました。普段はジャーナリストとして文章を書いていますが、今回は文章ではなく、たまたまイベントという形で伝えるということになったのかなと思います。

これがスタートです。木次線で活動する人たちへの共感や木次線への関心を高めることには一定つながったのではないかとは感じますが、その次のステージ、持続可能性を高めるためにも実際に利用してもらうことにつなげたい、その新しい挑戦がスタートします。

沿線の皆さまの想いと活動を私も全力で後押ししていきたいと思いますので、引き続き、応援、お力添え、注目、よろしくお願いします!!!

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