自由のドア

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2018年巡り合えてよかった!5冊

いやーもう年末ですね!毎年恒例の巡り合えてよかった!5冊の2018年版をご紹介したいと思います。

今年はものすごい量読みました。100冊は超えてます。記録を取り始めた8月1日からでもすでに150冊。なので、1年間では200冊近いのではないかと思います。なぜかというと、繰り返しちょこちょこ書いていますが、博士論文を書くために、一日1論文(または本)を読むことを課しているからです!しんどいけどやればなんとかできるというか、むしろ読まないと落ち着かない活字中毒的な感じまではきました(笑)

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そうした中で、厳選の5冊、です。これまでと変わらず、2018年に出版されたわけではなく、たまたま2018年に私が出合った本たちの中からのセレクションです。出合った順。あらためていい本が多かったですね。やっぱり本って最高。

 1)中動態の世界(國分功一郎

昨年とても話題になった本。4月の1週間の充電時期に読みましたが、目からうろこで大興奮でした。能動態と受動態というパースペクティブで今の世界を私たちは理解しているのですが、それとは違う態=中動態があり、中動態という見方で見るとまたこれまでとは世界が違って見える、という感じでしょうか。個人的にも、現代という時代について意志=私という意識の肥大化という問題意識を持つようになりました。ちょっと難しいかもですが、頑張って読む価値があります。読んだ後には世界が違って見える。これこそが「学び」の神髄であり醍醐味なので、ぜひ読んでみてください!

2)うしろめたさの人類学(松村圭一郎)

よりよい社会をつくっていく上でのキーワードが「うしろめたさ」という感情にあると投げかけている本です。”人との格差に対してわきあがる「うしろめたさ」という自責の感情は、公平さを取り戻す動きを活発化させる。そこにある種の倫理観が宿る”というくだりは、なるほどなと思いましたし、今後の社会は「倫理感」というのが大切な概念になるのではないかとうすぼんやり感じていたこともあって、面白く読みました。キーワード一つで鮮やかに社会を切り取り、考えてもらえるような問いを投げかける、こんな仕事をしたいものですね。

3)小さな出版社のつくり方(永江朗

ひとり出版社に代表される小さな出版社を営む人たちがなぜ、 どうやって立ち上げて続けているのかを紹介しています。登場する11の出版社それぞれのストーリーを追っている中で、著者が抱えている出版業界への問題意識がところどころ表現されていて、それがきちんと通底していて、伝わってくるものがありました。私の目指すスタイルとしても、問題意識があるのは大事なんだけどそのまま批判として押し出すのではなく挑戦や提案の中に描きたいと思っているので、次はぜひこんな本を書いてみたいなあと、いいヒントをもらった、いいモデルが見つかった気分になりました。

4)観光客の哲学(東浩紀

私が取り組む「関係人口」につながるから読んだ方がいいよと信頼する知人に言われ、手に取りました。「村人」でも「旅人」でもない概念として「観光客」を提案していて、私の考えていることと近い部分があるなと、やっぱり「あいだ」なんだよね。もっとどこが違ってどこが同じなのか整理しないといけないですが。何より、他者への寛容を支えるために「家族」(現代の狭い概念ではない)を出し、最後の「子として死ぬだけではなく、親としても生きろ」というメッセージは強烈で涙がこぼれました。ちょうど盟友矢田明子ちゃんと話していたことと同じでびっくりしたり。実は以前に一度読んだのですが、そのときはほとんどわからなかったけど、今回は理解することができたので、自分の成長も感じることができてうれしかったのです。

5)日本の分断(吉川徹)

私が通っている大学院の指導教員である吉川先生。以前に書かれた『学歴社会のローカルトラック』も、質的調査と量的調査を両立させていて、こんな本を書きたいと激しく感動したものでした。今回は、粗いですがまとめると大卒者と高卒者の間の分断が激しくなっていて、これを放置することは日本社会に大きな問題になるというのが大きな趣旨で、定量的データを元に、現代を切り取っていて、しかも最後に熱いけど押しつけがましくないメッセージがある。エビデンスとメッセージを両立させている素晴らしい本でした。私もこんな博士論文を書きたい…!

ちなみに、お気づきになりました?写真には6冊が写されていることを…『ジンメル・つながりの哲学』もよかったのです。ジンメルという社会学者が言っている「秘密」という概念の大切さがとても腑に落ちて、少し人生が楽になりました。そうそう、今年、いろんな本をたくさん読んで、知識が増えて、繰り返しになりますが、人生が楽になりました。勉強すると、人生が楽になる。と実感した1年でもありました。というわけで皆さまにもおススメです。

過去のシリーズはこちら。2016年が修士論文が大変すぎて書き残せてないのが悔やまれる…悔やんでも悔やみきれない…

 

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