自由のドア

島根、ローカルジャーナリズム、ときどき鉄道

2022年巡り合えてよかった!5冊

毎年恒例の巡り合えてよかった本シリーズ。昨年は、人生で初めて、年間101冊読みました。読書記録アプリのおかげです。毎年読みたいといいながら達成できずじまいだったので…でも自分が記録フェチであるので、記録するなら読むんじゃないかという仮説に基づく実験でしたが、達成できて我ながら感動。そんななかでの超厳選5冊。いい本にたくさん出合えたから悩みましたが、人生観を変えた(大げさ)なものに絞っています。2022年発刊ではなくて読んだ本になります&読んだ順です。

1. 自立へ追い立てられる社会

自立した強い個人が目指されがちな昨今の風潮に違和感があり、手に取った一冊。イメージされがちな社会像のひとつである「主体性のある人たちが共生社会をつくる」のではない、とはっきり書いてあることに衝撃&納得。逆説的に「多様でゆるやかな人間関係」の重要性も。若い世代から「生き残るためにどんなスキルを身につけたらいいか」と相談を受けることがあり、そんな一人一人が強くなれと言いたいわけではないし、目指したいのは弱くても生きていける社会だよね、と、そのためには役割や居場所みたいなものが必要なのではないかと思っていたので、それが確信に変わりました。細かいところではまだ像を結んでいないところもありますが、提起の意義は大きいです。

2. アスティオン

いつもジャーナリストと研究者(アカデミシャン)と自分の立ち位置に悩んでいて、アカデミック・ジャーナリズムは目指すところのひとつなので、手が伸びました。すごく力をもらったのは、ジャーナリストとアカデミシャンの対立というよりインディペンデント(独立)かどうかが大事だという東さんの投げかけ。数が公共性を意味していた時代が過ぎ去った今、数の支配の世界を目指す意義が言語化されていて、みんなでつくる中国山地でも大切にしていることだったので、ああやっぱりこれでいいんだなと。専門知と臨床知の話もあり、専門知を担うには力量が不足している私の立ち位置としてはやっぱり臨床知メインの専門知プラス(手法はさまざま)なポジションなんだなとも。

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3. 多様性の科学

多様性ってめちゃくちゃ大切だよねと直感と経験で思いながら、なぜ大切なのか説明できずにいたので、おススメされて読破。個人として優秀でも盲点ができて失敗した事例によって能力よりも異なる背景・視点が重要であることが説得力を持って語られ、なるほどー!の連続。何より刺さったのは、有益な情報や視点も共有されなければ多様性の力が発揮されず意味がないという記述(p120)。そのためのキーワードは尊敬型ヒエラルキー。実は2023年の決意にも影響しているんですが、そうなんだよね、私は多分多様性は意識してきたし、でも弱いのは共有で、ここを強化しなければ未来はない!!と激しく心に刻みました。だから2023年の目標は共有=分かち合うの「分」なのです。

4. サラ金の歴史

新書大賞、サントリー学芸賞ということで興味を持ちました。研究者としても、歴史を踏まえるのは大切で私も今後やっていきたいという問題意識もあります。なので2022年は歴史系の本にたくさん目を通したのですが、その中でもこの本は、骨太というか、サラ金というあまり研究されていないけど辿れば社会が見えるという着眼点の秀逸さに加えて、金融技術と人という二つの視点に基づき、ジェンダーの視点も加えて史料を積み上げながら、読ませる。それは逆に裏付けが分厚いからできるんだろうなと感服です。私もいつかこんな本書いてみたいなあ。しかし政治が改善どころか状況の悪化に加担しているのは宗教二世の問題と一緒だと憤りもおぼえました。本丸はやっぱり政治か…

5. 情報生産者になってみた

上野千鶴子ゼミ生たちによる、何を学んだのかを振り返る本。上野さんについては議論が分かれる方であり、その部分はいったん置いておきます。興味深かったのはゼミ生という立場からの視点。これからゼミ運営をする身としてほんと勉強になりました。卒論の書き方や輪読コメント方法、学ぶこと=真似ること、個人の問いを社会の問いにつなげる知…。上野千鶴子コピーの教え子を求めているわけではないとか、どこまでも「あなたの問い」なんだとか、運動と研究を分けて学生を巻き込まないとか、来訪者の対応とか大切にしたい重要スタンスてんこ盛り。とりあえず研究室にお菓子を置きます(そこw)。あとはバイトを出すことも。「保健室」になるべきなのかは要検討かなあ。

過去記事はこちらです◎

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