自由のドア

島根、ローカルジャーナリズム、ときどき鉄道

環りの海に込めた思い(3)

昨日、あらためて、と書いた環りの海に込めた思い(3)を書いてみたいと思います。

琉球新報との合同連載が無事にスタートすることになり、スタッフは、山陰側は、合同連載言い出しっぺの先輩(デスク)と、これまで竹島を担当してきたデスクと記者2人(先輩と後輩)、そして新参者の私という5人体制ということが決まりました。琉球さんは、デスク1人と記者2人の3人。第1部は、これまであまり目を向けられていなかった竹島尖閣諸島周辺の海の様子や漁業について見ていこうということで、先輩記者と後輩記者が第1部を受け持つことになりました。第2部は、対岸、つまり、韓国と中国、台湾という関係国の漁業の状況を書いたり、人々の領土意識についてきちんと話を聞きたいねということになり、私は第2部の韓国取材の担当に任命されたのでした。

私自身、韓国に行くこと自体、実は初めてだし、さらに取材だなんて。どうやって行くのか調べたり、通訳を手配したり、慣れずに苦労しましたが、何より、苦労したのが、アポイントが取れない!!ということでした。韓国の漁業団体や漁業者、関係者に正面からファックスを送って、取材を申し込むと、ことごとく、断られるのです。領土のことを聞きたいとは一言も書いていないし、漁業の取材なのに…です。韓国事情に詳しい人から、日本の新聞社、しかも、竹島がある島根の新聞社では、なかなかアポがとれないだろうと、言われてはいたのですが、想像以上で「話が聞きたいだけなのに、どうして!!!!」と、悔しくて悲しくて、涙が出ました。

環りの海――竹島と尖閣 国境地域からの問い

環りの海――竹島と尖閣 国境地域からの問い

もう島根県内外、何人もの人を頼って、いろんな筋から、お願いしてみましたが、ダメでした。さすがに、一人のアポイントも取れないのでは、韓国に行かせることができないと言われていたし、それもその通りだと思っていたので、もう、ほんと必死でしたね。対岸のリアルを描くことが、この合同連載の意味、意義というか大きなポイントの一つでしたし、それができないなんて…どうしよう…プレッシャーと、悔しさと悲しさと。このころが一番精神的にきつかったし、胃が痛かった。これが最後…これがだめなら…とわらにもすがる思いで、境港の関係者にお願いしたところ、ようやく、韓国の漁業関係者にOKをもらうことができ、何とか、何とか、韓国に行けることになりました。出国予定の数日前だった…気がします。

そうして飛び乗ったアシアナ航空。ありがたいことに、島根のお隣の鳥取県にある米子空港から、韓国行きの飛行機が飛んでいるのです。べんりー!苦労の末、実現にこぎつけた喜びも大きかったですが、それと同じくらい、不安も大きかったです。言語の壁もあるし、普段の取材みたいに、ダメだったからもう一回聞いてきます!みたいなことも許されないわけで。約1時間のフライトで「わー本当によかったなあ、頑張ろう!」とワクワクしたり、「大丈夫かな、できるかな…」と不安になったり、行ったり来たりしているうちに、あっという間に韓国に到着。韓国では、もっと大きな驚きが、待っていました。次回に続きます。(なんか全然、込めた思いというより回顧録みたいになってますね…タイトル変えた方がいいかな、汗)

●新聞協会賞受賞の連載「環りの海」が書籍化されました!

●環りの海に込めた想い(1)

●環りの海に込めた想い(2)