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島根、ローカルジャーナリズム、ときどき鉄道

中国山地に暮らす私たちの、私たちによる、私たちのためのメディア『みんなでつくる中国山地』

雑誌『みんなでつくる中国山地』できました!中国山地に暮らす私たちの、私たちによる、私たちのための新しいメディアです。

なぜこれをつくろうと思ったのか、ちょっと長くなる&荒削りでもありますが、発起人の一人である私の視点で思い切って、綴ってみようと思います。

みんなでつくる中国山地

みんなでつくる中国山地

 

まず、縮小ニッポンなどの報道をみるにつけ、人口減少=悲惨という固定観念が強すぎるのではないかと感じていました。各地を歩いていて思考停止的に「人口減少が課題です」と眉間にしわを寄せて相談されるのですが、本当にそうなのでしょうか? 本質的な課題は、人口減少そのものではなく、現在の人口増加を前提した社会の仕組みが、人口減少時代に合わせたものになっていない、そのズレによって私たちが暮らしにくくなっている、そのことが本当の課題なのではないかと思うのです。

そう考えたときに、その課題を解決するためのソリューションや、もっと言えばイノベーションが、中国山地で先発的に起こっているのではないか。それは、中国山地が過疎の発祥の地と言われ、人口減少に20年以上前から向き合ってきている、つまり、人口減少の先行地域だからこその動きだし面白さだと感じています。

それなのに、どうしても地元に暮らしていると、その息吹が感じにくい。「過疎=人口減少が止まらない」という側面ばかりが強調されてしまっています。でも、きちんと目を凝らせば、新しい感性による新しい動きが確かに始まっていて、しかもそれは、今後の縮小ニッポンを考える上でも示唆に富んでいるように思うのです。

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もう一つ、メディア論の視点からも、問題意識がありました。いま、地域の外に向けて地域の魅力を発信したい!というものが多いように思います。それはそれで否定しないし大事!!なのですが、でも、島根をはじめとした中国山地の現状を見たときに、外に発信する前に、まず地元の私たちじゃないか?とも思ったのです。

過疎が生まれて60年、この間、大きく人口が減り、経済も縮小する中で、どうしても誇りと自信を失いがちでした。だから「何もない」「こんなところ」という自虐的な言葉を聞くことも少なくありません。でも、そうではなく、前半にお伝えしたように、確かに新しい感性による新しい動きが芽生えていて、本当に面白くなっているのです。

このことをまず私たちが共有するのが何より大切なのではないか。「いま、中国山地が面白い!」。私は心の底からこう思っていますし、声を大にして叫びたいし、それを、地元のみんなで共有したい。そのためのメディアです。

だから、冒頭に書いた「中国山地に暮らす私たちの、私たちによる、私たちのための新しいメディア」なのです。

もちろん、中国山地は人口減少の先行地域という位置づけなので、他の地域の方々に読んでいただいても普遍性はあると思っています。人口減少が進んだ中国山地で起こっていることは、この先、同じように人口減少に悩む地域にも起こる可能性がある。

でも、繰り返しになりますが、この本を究極的に誰の何のためにつくるのかというのは、発起人でたくさんたくさん議論というか激論を交わしました。そして、地元の私たちが「これでいいのだ」と、地元の「今」やその面白さを共有するためである、というのが、たどり着いた結論です。(そのあたり、別の地域の読者の方に向けた説明がもう少し本の中で必要だったかなと、少し反省もあります…ごめんなさい)

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以上が私の問題意識でした。私以外にも、発起人は「移住1%戦略」で知られる藤山先生や、私の山陰中央新報時代の先輩がおられて、それぞれまた違う問題意識で、中国山地編集舎を立ち上げることになりました。

その後、いろんな仲間に声を掛け、東西に長い島根のあちこちで会議をしながら、1年くらいかけてつくりあげてきました。その話はまたあらためて記録したいな。あと、中身の紹介ももっとしないとですね…!こちらもまたあらためて。

すでに手に取ってくださった方々もおられて、感想も寄せてくださって、本当にありがとうございます!全力を注いだという自負と、ちゃんと期待に応えうるものになっているのかという不安と、ない交ぜの葛藤の中でリリースしているので、皆さんの声にとても励まされています。感謝してもしきれません。

そして最後に大事なことを!この本は、読んで終わりではなくて、中国山地のはじめとした地域を想う人々がつながるためのきっかけ、手段であると考えています。だからこそ、そのつながる場として1月12日(日)島根県邑南町で、記念大会を開くことにしています。冬でお出かけにくいかなと思いますが、楽しい人たちが集まりますので、ぜひご検討ください。中国山地編集舎一同、お待ちしています。今後もこういう場をつくっていきますので、ぜひ一緒によろしくお願いします!!

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