自由のドア

島根、ローカルジャーナリズム、ときどき鉄道

原点を思い出した北海道出張

週末、北海道に出張してきました。北海道新幹線と、スーパー北斗乗りました!ともに4時間コース。久々に鉄道を堪能して満足。内浦湾の風景は、結構お気に入りなんですよね。わーい。

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 足を運んだのは北海道大学のスラブ・ユーラシア研究センター。

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ここにお邪魔したのは実は久しぶり。2012年以来、6年ぶりだったので、すごくすごく感慨深かったです。2012年に何があったのかというと、古巣の山陰中央新報琉球新報との合同企画「環りの海」を連載していました。

この連載の一環で、北海道大学の岩下昭裕先生の取材に訪れたのです。岩下先生は当時、なんと「環りの海」を読んでくださっていて、こんなに遠く離れたところに読者がいるなんて…!と激しく感動しました。でも「田中輝美」という署名から「タナカテルヨシ(男)」だと思っていたとのことで、実物の私を見て驚いておられたのも今となっては笑い話、懐かしい思い出です。本当にあたたかく歓迎してくださって、岩下先生という共感できる先達に出会えたことは本当に大きく、その後もどれだけ励まされたか、感謝してもしきれません。

さらにその後も、岩下先生は、いろんな機会に呼んでくださっては私の出番をつくって役割を振ってくれて、まあ私だけではなく、全国各地の曲者=珍獣たちを放し飼いにしつつ、それぞれに出番を用意して力を発揮させている様は、名珍獣プロデューサーという名にふさわしいように思っています(言い過ぎたかも、笑)

 今回も、境界地域研究ネットワークJAPAN(JIBSN)のパネルディスカッションということでお声掛けいただいたので、出かけてきました。札幌開催ということもあり、JR北海道をどうするか問題がテーマ。鉄道好きとしては、ついつい熱くなってしまって、本気で言葉を絞り出すことになりました。岩下先生が司会しておられて、私も普段司会することもあるので、こうやって登壇者の本気を引き出すのかと、感銘を受けました。

結構勇気を出して、鉄道の必要性を訴えたのですが、想像以上に受け止めてもらえて、たくさんの人によかったと声をかけてもらいました。一部ご紹介すると

「昨日のセミナーは非常によかったです。さすがにローカル鉄道をよくご存知の田中さんの話は説得力がありました。みなさん、「目から鱗が落ちる」だったのではないかと思います。「鉄道を残すのも、つぶすのも地域の住民」(正確ではありませんが)というのは、なかなか、含蓄のある言葉だと思いました」

「土曜のセミナーでは鉄道への北海道民の地域愛の足りなさが問題という結論になりましたよね。それを受けて、稚内の皆さんは宗谷線への愛が足りない、サハリンへの愛も足りないといってきました。愛が足りないから船もダメ。地域の地域による地域のための愛の確認と再創造が必要と思いました」

残念だなと思ったのは、田中輝美さんが仰っていた、市民とJR北海道との間に絶望的なくらい信頼感がないということ。北海道の将来像の問題と鉄路の切り捨ての問題はまったく連動してない。岩下先生が、鉄路を含む北海道の交通の問題について真摯に取り組もうとする力のある政治家がいないという指摘もなるほどというものでした。交通の問題はミクロ・メゾ・マクロなスケールでの「地域」をどう今後構築していくのかという問題に直結しているので、恐らくは、政治を巻き込みつつ、広域的な自治体や市民の対話が必要なのだろうなと。

などなど。やっぱり伝え手が諦めたらダメだよね。信じて、思いを込めて、伝え続ける。それが伝え手の原点であると思い出しましたし、勇気ももらいました。

今回もなんとパラオから来られている方もおられたりで、JIBSNでしか出会えない人たちと会えるので毎回楽しみで、忙しい中でも時間をつくって参加したくなります。さらにその方たちに独立後、たくさんたくさん助けられてきたなと、できる限り、このコミュニティに恩返しというか貢献できたらと思っているところです。

 私の人生にとってJIBSNのコミュニティ、そして岩下先生は本当に大きな存在です。こうして多くの人に助けられ、育ててもらって今があるということ、これも思い出した原点の1つです。

 そうそう、岩下先生に博論で苦労していることを話して、励ましてもらおうと思ったら「当たり前だ。研究者なめんなよ」という至言をいただきました。そうですよね…はい…がんばります。「どれだけひとりこもって闘うかが勝負です。孤独になって自分と対話し続けてくださいね」ともメッセージいただきました。はい…肝に銘じます!!

全然更新できていないのに、このブログにも結構アクセスしてもらっていて、ありがたく申し訳なく…読んでくださる皆さま、ありがとうございますーーー!