自由のドア

島根、ローカルジャーナリズム、ときどき鉄道

地域に暮らしていて、一番危機感を持っていること

今年は宮崎のJR吉都線日南線、和歌山のJR和歌山線紀勢線に関わる機会をいただきました。お声掛けくださった宮崎県庁の小倉佳彦課長はじめ皆さま、JR西日本和歌山支社の伊藤義彦支社長はじめ皆さま、ありがとうございました!

宮崎県が設置した「みやざき地域鉄道応援団」の提言書が公表されました。「地域に愛されない鉄道は残らない」を基調に、さらに地域の役に立つ存在を目指して県と沿線市町村、住民、JRが一緒に来年度も取り組んでいきます。

宮崎県:みやざき地域鉄道応援団提言書について

会議のメンバーには、JR九州宮崎総合鉄道事業部長の宮野原佳さんや、鉄道愛溢れるアナウンサー田代剛さん、地方でインバウンド事業に取り組む日髙葵さん、カープ油津駅(JR日南線)の黒田泰裕さんをはじめとした沿線地域の方々など、多様な人が熱心に議論して提言書ができました。ちゃんと実行に移せるか、これからです。

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一方、JR和歌山線では、JR和歌山支社が中心となって「ぼくらの和歌山線活性化プロジェクト『ワカカツ』」を行っています。

「ぼくらの和歌山線活性化プロジェクト『ワカカツ』」スタート(マークの一般投票開始):JR西日本

福山和紀さんのお声掛けでワカカツ1周年イベントで講演したことをきっかけに、今週、JR和歌山支社の2019年度経営戦略会議でお話する機会をいただきました。支社とグループ企業の皆さんが安全運行、そして地域に向き合いたいと懸命に議論していたのが印象的でした。

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さて、本題。正直に言えば、宮崎でも和歌山でも、詳しい事例を知れば知るほど、JRがここまでやっているのか!と驚きました。

人口減少時代、鉄道が危機に直面する中で、全国的にいわゆるJR以外の「ローカル鉄道=第三セクターや私鉄」は、それぞれ地域と一緒になって危機を乗り越えようという取り組みが増えてきました。(詳しくは私の著書『ローカル鉄道という希望』で!)

一方で、JRについては、どうしても構造的な難しさがあって、地域と一緒になった取り組みはほとんどなかったというのがこれまでです。でも、ようやく各地で挑戦が始まりました。

どこも手探りで、苦労や難しさももちろんありますが、なんとかJRと地域との協働モデルが形にできれば。そのためにも、小さくてもいいので具体的な成功事例を増やして、共有していけるといいなと思っています。

昨年は、私の地元・島根県でJR木次線三江線に関わりました。特に木次線は、沿線自治体の雲南市西村健一さん、 多根英志さん、JR木次鉄道部の足立勉さん、岩谷美穂 さんたちの尽力で木次線沿線の魅力大発表会ができました。

今年の木次線は、たくさんの人が自分ごととして木次線を生かそう、盛り上げようとしていて、この木次線利活用推進協議会のサイトのレポートにきちんとまとまっています。(※ちなみによくある「利用」促進ではなく、「利活用」促進というネーミングからしてぐっとくる)

木次線利活用推進協議会

さらに、出雲大東駅の駅長 南波 由美子さんが夏に企画した観劇列車「木次線、その先へ」が、第4回笑顔あふれる地域イベントアワード優秀賞に選ばれました。すごいことです!

三成由美ちゃん、 すずき ゆりこさん、 吉田 真琴ちゃんを中心とした皆さんのアイデアと行動力で木次線応援弁当もできました! きしもとひろこさんのフォトコンテストなど加茂中駅を中心とした活動も面白いです。

次作の著書は「すごいぞ関西のローカル鉄道」を書くことが決まっていますが、その次はJRと地域をテーマに本を書きたいな。

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私がなぜ鉄道にここまで関心を寄せているかというと、鉄道好きというのを超えて、地域を考える上で、鉄道を含めた「移動」がこれから大きな問題になると考えているからです。

確かに人口が減って、地方では既存の商店やサービスがなくなっていっていますが、でも逆に、新しい価値を見出した若い世代の流入も確実にあります。例えば中国山地の集落にパン屋やカフェ、ゲストハウスなど開業があります。一昔前なら考えられなかったです。もちろん大量ではないし、規模も大きくありませんが、身の丈に合った新しい仕組みややり方です。なので私は地域の先行き自体はそんなに悲観していません(※楽観もしていないです)

危機感を持っているのは、公共交通=移動です。これは、インフラという大きな問題でもあるし、若い世代の小さな挑戦ではどうにもならなくて、公共が関わらないとどうもならない分野だと感じています。

鉄道だけでなく、バス、タクシー、車、もしかしたら物流も含めて、地域の行政、住民、事業者が一緒になって総合的な新しい形をデザインしていかないと、地方で人が移動できない、物が届かないという、そんな日が来るのではないかと危機感があるのです。

私はそんな地域には暮らしたくないし、だから、そうならないためにできることは微力ですが力を尽くしたいなと思っていて、その一環で、ローカル鉄道(JR含め)の問題にも向き合っています。

少しでも関心を持った方がいれば、一緒に議論できるとうれしいです。思った以上に長文になってしまいました。勢いで書いたので拙い部分もあると思います。最後まで読んでくださってありがとうございました。