自由のドア

島根、ローカルジャーナリズム、ときどき鉄道

最近気になった記事7選〜地方創生、関係人口、都市と地方、分断

ぜひ記録しておきたいもの、もやっとしたもの、いろいろありますが、まとめてご紹介。

1)確かに地方では公務員、役場のパワーってすごく大きいのですが、都会的な?官民の二項対立文脈で否定的に言われてきたようなところがあって、違和感があったので。西粟倉村は以前から注目している地域です。

”役場がいわゆる役場らしく旧来型の組織であることを前提に、まちづくりのプレーヤーは民間主導だと言う論調はここ10年強かったように思いますが、それは役場が変われない前提に立っているだけの話。役場が変革のエンジンになる意志をもって動き出すと、どれだけパワフルな存在かを西粟倉村は体現しています”

2)リスペクトしている貞包先生の論考。少し関係人口についての捉え方の範囲が狭いというか硬直的な感じがするのが残念ですが、書かれていることは同意です。むしろ私もなんとなく感じていた都市─地方の関係のあり方を言語化してくれていて感謝。

”しかし問題は現代社会で、地方と大都市を結ぶこうした「お互い様」のきずなが弱体化していることである””ライフスタイルに風穴を開けることこそ、大都市の人々が地方創生に期待すべきことといえよう””大都市と地方が絆を弱め、対立を深めているが、その対立を書き換え、「移動」や人生の選択に関しての決定権を、より多くの人々の手に奪い返していくこと書き換え、それによってわたしたちのライフスタイルをみずから望むべきかたちにつくりあげていくこと”

3)書かれている内容は共感できる部分もできない部分もあり、越境入学の是非自体を論じたいわけではないのですが、2)から続いて、都市と地方の関係のあり方について、以下の部分ははっとさせられるというか、非対称性について考えさせられました。

”筆者の肌感覚では地方→都会の越境はあえて厳しい環境を求める志の高い少年だとみられている気がする。逆に都会(特に関西)→地方は競争率を必死に考え、打算でやってきた甲子園の亡者と世間から勝手に決めつけられてはいないか。越境を批判するのなら、少なくとも同じ線で論じられるべきだろう”

4)ここでいう「応援人口」というのは、私が定義を目指している厳密な意味での「関係人口」なのかな?もう少し考えを深める必要がありそうです。

”そこで松岡町長が考えたのが、応援人口の増加だ。

「これからの時代、どう頑張っても、定住人口が大きく増えることはない。住んでいる人だけではなく、応援してくれる人も“住人”にすればいい」

住人が「主体的に参加する形」として、好きな事業に投資(寄付)する「ひがしかわ株主制度」を始めた。当初は2000人を目標にしていたが、今では約2万3000人もの株主が存在し、毎年株主が町を訪れる”

5)指導教員である吉川先生の論考。このくだりにはドキッとします。ここに都市と地方の関係性も関わっているはずで。忘れてはいけない視点だなと思います。

”今の日本社会では、「ジェンダー」「生年世代」「学歴」という3つの分断線が重要な意味をもちはじめています”

6)一気に趣向が変わって。このニーズは地方では絶対あると思う。新聞の接触時間が減り、都会では電車での通勤・通学中にスマホでニュースに触れていると言われていますが、地方は電車でスマホがないので、単純にニュースへの接触時間の減=ローカルジャーナリズムの空洞化につながりかねないのではないかと問題意識を持っています。

”長文記事を読む時間はないが、車の運転中などに、単純なニュースだけではなく、がっしりとしたジャーナリズム報道を時間をかけて「聞きたい」という人々がいる。そのために、BT社は、ノルウェーの音声開発の専門スタートアップであるBeat社と一緒に、速報ニュース専門のポッドキャストをリリースした”

7)これは本当に大切にしたい視点です。