環りの海に込めた想い(4)韓国編です。韓国に行って、一番驚いたのは、何人もの人に「日本の人は、みんな、韓国が嫌いなんでしょう」と言われたことでした。え…そんなことないよ、とびっくり。詳しく理由を聞いてみると、ヘイトスピーチや嫌韓本などが売れているといったニュースを見て、ということでした。そんな、それ自体は確かにあったことかもしれないけど、でもそれが全部じゃないし、日本に住んでいる人全員じゃないよ…でも、考えてみたら、私だって、反日デモなどのニュースを見て「あー日本って韓国の人に嫌われてるんだな」と思っていました。
- 作者: 琉球新報,山陰中央新報
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/02/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ニュースというのは、突出した事象を切り取って、提示しがちです。デモがあった、ヘイトスピーチがあった。それはそれで、嘘ではないのでしょうが、そう切り取って、そこだけ見せることで、あたかも全体がそうであるかのように、伝わってしまうことがある。日韓の感情の悪化の連鎖、ちょっと言葉が大げさかもしれませんか、憎悪の悪循環というものの一部は、私たちメディアがつくり出していたんだなと、ショックを受けました。
だからこそ、この連載では、突出した事象ではなく、市井の人の普段の姿、日常を描こうということを意識したつもりです。一般の韓国の人に聞くと「日本人が憎い、嫌い」という人はそんなにいませんでした。確実に「日本人が好きだ」という人は存在していましたし、ただ、もちろん、それがすべて、全員ではないのは、反日デモと逆の同じ構図ですよね。
一部の事象だけを見て「韓国はこうだ」「日本はこうだ」という大きな記号、レッテルに言い換えて決めつけることはやめようと、心に刻んだ韓国取材でした。そうそう、行く前にあれだけ断られたアポイントでしたが、実際に韓国に渡って、直接顔を見た上で「○○さんに会いたいんです」というと、よっしゃー!と親切に紹介してくれる人が多かったです。そこには「日本人だから」「(竹島のある)島根の記者だから」というのは、ありませんでした。大きな記号ではなく、個人と個人で、つながり、交流することの意味というのも、感じることができました。
もう一つ、とはいえ、一方で、確かに、韓国における反日感情というものもあるわけで、それを「けしからん」で終わるのではなく、「なぜ」そうなっているのか、という、背景を取材して伝えることにも心を砕きました。そのなぜがわからないと、向き合い方もわからないし、領土問題の解決へのアプローチも考えようがないと思ったからです。とはいえ、私の力不足で、うまく伝わっていないかも…よかったら、ぜひ、私が担当した第2部の韓国編、読んでみてもらって、感想を教えていただけると、とってもうれしいです!!!
次回は、琉球新報社という別の会社と組んで連載に取り組んでみて感じたことを、書いてみたいと思います。しかし、全然終わる気配が見えない環りの海に込めた想いシリーズ…。著書「未来を変えた島の学校」も発売され、そちらの話も書きたいのに…