自由のドア

島根、ローカルジャーナリズム、ときどき鉄道

「東京から最も遠い市」で育む挑戦〜江津市ビジネスプランコンテストGo-con2014その2

続いて江津市ビジネスプランコンテストの話題。最終プランの発表者が6人いて、グランプリだった山口梓さんのプランは、昨日、ご紹介した通りですが、残りのプランも面白かった、ぜひ実現してほしい!ので、ご紹介します。

橋口陽平さん「GOAT’S CITY GARDEN PROJECT〜無農薬造園・ヤギ除草都市計画〜
Iターンヤギwと庭師の誘致で、住宅や空き家の美観再生、耕作放棄地の周年除草などに取り組む。無農薬造園なども。橋口さんは現在、実際に、江津市でヤギを飼いながら、神戸との二地域居住をしているそうです。いやほんと草刈りは超難題ですからね。解決できるならスバラシイ!ヤギを介した地域コミュニティの再生にもつながるらしいです。

峠土純子さん「見える」パン屋をつくる〜地域とともに作るパン屋〜
広島のパン屋さんで10年間修行したキャリアを生かし「紬麦(つむぎ)」という名前のパン屋を、江津市内の古民家で開業する。住民と交流しながら、耕作放棄地でつくった小麦を使いながら、天然酵母や砂糖・油脂を使わないという安全安心にこだわったパン屋さんです。国産小麦は増えつつあるとのこと。土地の小麦でパンをつくる。すてき…!

福島利一さん 真和plus江津市up〜創る食のプラットフォーム〜
漁獲は下がるが、お魚への需要は変わらずある、という前提を踏まえつつ、飲食店や漁船を使った体験観光に広げるというプラン。不明を恥じましたが、真和漁業生産組合は技術力の高さで、築地で「真和のアジ」としてブランドを確立しているそう。「この町で生きていく」その第一歩を作り出すプロジェクト、後押しください、との最後の呼びかけはぐっときました。急遽つくられた特別賞を受賞。

藤智志さん「5283(江津ハチミツ)プロジェクト
島根の自然環境は、養蜂向き、ということが、ご自身の実地調査でわかったそうです。すでに、江津市内で、西洋ミツバチ&日本ミツバチと一緒に暮らしているとのこと。プレゼンの最初にお話された「気になるモノやコトを持つ、創り出す、まち」というコンセプトや「好きは、ポジティブの原動力」という指摘は、とても共感しました。

桑本清香さん 在宅で介護をする方へのリフレクソロジー〜江津を介護しやすい街へ〜
このビジネスプランコンテスト始まって以来という、福祉関係のプラン。介護する側の精神的ケアとしてリフレクソロジー事業化することを提案されました。新しく創ることに目がいきがちですが、こういう目に見えないサポートって、すごく大切ですよね。挨拶したとき、前向きで明るく、行動力のある人だな、と感じました。これからが楽しみです。

胸が熱くなりました。地方捨てたもんじゃないぞ、っていうか、やっぱりおもしろい!今年のコンテストは例年にも増して面白いと聞いていましたが、その通り。何年か前にも聞きに来たことがありましたが、ちゃんと進化しているなあと。なんせ、プランとしてちゃんと練られているし、思いが伝わってきます。関係者は「出してくる人たちの力。ありがたかった」と話していましたが、2010年度から、もう5回目になるくらい、こんなに続いていて、しかも、10人が創業やプラン実施という成果を出しているビジコンは、なかなかないと思うので、そういう積み重ねの結果で、良い人材が集まってくるようになってるのではないかと、思いました。

2015年度も引き続きやります、注目ください◎

もう一つ良かったのは、過去の受賞者たちの近影がまとめて紹介してある紙が用意してありました。いまや島根を引っ張る「シマネプロモーション」の三浦大紀くん、県立横田高校のコーディネーターを務めている本宮理恵ちゃん、も、実は、このビジネスプランコンテスト受賞者ですし、二人とも、コンテストを主催する一団体であるNPOてごねっと石見で働いて、独立したり、また別の地域で風を起こしたり、しています。同様に、過去の受賞者である古民家カフェの風のえんがわさんも、コミュニティの核となっているそうです。チャレンジャーたちが増えているのが、嬉しく、誇らしいですね!

そうそう、ビジコン冒頭の挨拶で「新しい風が吹き込んできた」「行政も一緒になって取り組みます」「(賞金の)100万円だけではできない。いろんな橋渡しをするのでどんどん言ってきて」という声が、官民から共通して聞かれました。コンテストの資料に「江津市では、2010年度からしないで創業(第二次創業も含む)に挑戦したい個人・団体・企業をまちぐるみで応援する取り組みを進めてきました」と書いてありましたが、まさに「まちぐるみで応援」している姿勢を感じました。こんなまちで挑戦できるのはいいなあ。

山下市長によると、来年度も開催予定だそうですので、ぜひぜひ、チャレンジしてみてください。きっと夢の実現に向けた一歩が踏み出せると思います。何でしたら、相談にも乗りますので、お申し付けください〜

ところで。タイトルにある「東京からもっとも遠い」という意味は、 特急が停まる日本中のJRの駅の中で、東京駅からいちばん時間のかかる駅として、江津駅が選ばれたことがあるそうなのです!(※いま現在もなのかは不明です)ジャーナリスト的視点でも、ほとんどのプランに耕作放棄地対策や、空き店舗、空き家対策が盛り込まれていて、やはり大きな地域課題なのだなと、興味深かったのと、そして、まだまだ、知らないことが多いなあ、世界は、島根は、広い!深い!と、気が引き締まりました。関係者の皆さま、本当にお疲れさまでした!!