自由のドア

島根、ローカルジャーナリズム、ときどき鉄道

本が本を越えていく〜第2回BOOK在月プレイベント

以前お知らせした、本と本好きが松江に集うイベント「第2回BOOK在月(ありづき)」。いよいよ明日25日(土)が本番となりました!今日24日はプレイベントとなる、島根出身のお二人によるトークイベント@松江カラコロ工房に行ってきましたよ。お一人は、新しい古本のムーブメントを起こしたライター、もうお一人は、雑誌ブルータスなどで腕を振るったプロのデザイナー。このお二人が「本にできること〜編集×デザイン×ローカル」をテーマに語りました。ローカルな本(冊子)づくりの可能性を感じたり、刺さる言葉たくさんあったりで、面白かった◎

古本の新しいムーブメントを起こしたライターとは、出雲市出身の南陀楼綾繁(なんだろうあやしげ)さん。名前からして、確実に怪しいですが(笑)一人が一箱、古本を持ち寄るフリーマーケット型「一箱古本市」の生みの親なのです!今ではこの一箱古本市、全国各地で行われていて、盛況です。あ、もちろん、明日もありますよ。もうお一方は、ブルータスやポパイ、オリーブといった人気雑誌のアートディレクションに携わってきた海士町出身&在住の新谷雅弘さん。島根にこんなすごい方々がいたとは…!やるな島根。

前置きが長くなりましたが、お二人にもお会いしてみたかったし、テーマも超面白そう、ということで、楽しみにしていました。一番印象的だったのは、全国の一箱古本市やリトルプレス(小冊子)を見て歩いている南陀楼さんが語っていた「イベントがベントに終わらず、そこから本のある日常が生まれる」「読む人が読むだけに終わらず、つくる人になる」という話。一箱古本市という単なるイベントや、リトルプレスという小冊子が、次の動きを生んで、古本屋ができたり、コーヒー屋さんができたり、本がある場所をつくったり、ということにつながっているそうなのです。なんて素敵なのでしょう!「本が本を越えていくのだなあ」と、私の中で勝手に思ったのでした。


(左が南陀楼さん、右が新谷さん)

三重県津市の「ホンツヅキ」や岩手県盛岡市の「てくり」など、全国の素敵なリトルプレスや本関係の動きの紹介もありました。特に津市の取り組みはイチオシらしく、ガイドブックとは違う街の見え方を提供したことで、津市に行ってみたい!という人が出てきているのだそうです。そういうのやってみたい。今までだったら、プロや出版社、東京から来たライターなどが関わらないとできなかったのが、そういうのとは違う、その土地のことを伝えたい人たちによる新しいカタチが出てきている。南陀楼さんも、出版社や東京中心の流れとはまた違う可能性に期待しているとのことでした。私もまったく同じ思いで、リトルプレスやローカル出版に興味がある、というか、チャレンジしてみたいと考えていたので、話を聞きながら、ワクワクしました。

で、トークでは、このあたりの可能性を、もっと深掘りしてほしかったのですが、そこは深掘りにはならず。ちょっと残念ではありましたが、そのほかにも、新谷さんが発する一言一言が、重み、凄みを感じさせるものが多く、ぐさりときました。いくつかご紹介。最後に「自分は単なる表現者」と言っておられましたが、そう言えるのがすごい。いい意味での自信に裏打ちされたプライドを感じさせる方でした。

「何が人の心を打つのか。技術じゃなくて、表現への態度」
「意味をつきつめないと。なぜと問いかけをしないと」
「わかったことは、表現は難しい。簡単じゃない」
「技術は何も生まない。まず、手を動かしてやってみたらいい」
「頭の中で自分の世界ができているか、それがないと何もできない」

さてさて、繰り返しますが、BOOK在月の本番は明日25日10時〜15時@松江市殿町のカラコロ工房です。詳細こちら。きっと、幸せな本や人とのご縁が生まれるはずです^^ ぜひ、お出かけくださいね!